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ラファジェーダ

こんにちは。Class of 2019RTです。今回は先日企業訪問させて頂いたIESEがあるスペイン・カタルーニャ地方で一番有名な社会的企業、ラ・ファジェーダ(La Fageda)社についてお話させて頂きたいと思います。

ラ・ファジェーダ社の歴史

 

ラ・ファジェーダ社はバルセロナ市から北へ120km、カタルーニャ地方ラ・ガロチャ火山帯地方国立公園にある、ヨーグルト、アイスクリーム、ジャムなどを製造・販売している地元企業です。社名「ラ・ファジェーダ」は工場が置かれている国立公園に自生しているブナの木のカタルーニャ語(Fageda)に由来します。

 

ラ・ファジェーダ社の起源は精神科医であるクリストバル・コロン(新大陸発見者のコロンブスと同姓同名!)が、労働を通じて精神障害者の方に生きがいを見つけてもらうため立ち上げたプロジェクトまで遡ります。1980年代、精神障害者は社会から疎外された地方の精神病院に送られ、治療および社会復帰が難しい状況にありました。クリストバルは、労働は、あらゆる個人の幸福や尊厳のためになくてはならないものであると考え、1982年、地元の精神病者や知的障害者を雇いラ・ファジェーダ社を立ち上げました。クリストバルはラ・ガロチャ地方で使われていなかった農場を購入し、生乳の生産・販売を開始。生乳生産量が販売可能量を上回るようになった際、余った生乳を使いヨーグルトの製造を始めました。障害者をさらに雇えるよう、高い固定費を賄うため品質にとことんこだわった高級ヨーグルトを完成させ、1993年に病院と学校向けに販売開始。その後、とある大手スーパーのオーナーの母親が、入院中に食べたラ・ファジェーダのヨーグルトに感動し、息子のスーパーでも取り扱わせてもらえるよう依頼したことがきっかけで、一般スーパーへも流通するようになったそうです。

 

現在、ラ・ファジェーダ社は従業員300名以上を抱え、同社ヨーグルトはカタルーニャ地方におけるヨーグルト市場でシェアで2位(1位はダノン)に位置しています。

 

IESEとの関わり

 

我々が最初にラ・ファジェーダ社のことを知ったのは1年生のマーケティングの授業でした。それまでマーケティングの授業では主に米国企業のケースが扱われ、商品を大量かつ効率的に売り企業がさらに成長するためにどのような戦略を立てるべきかを学んでいたため、ラ・ファジェーダ社のケースでも商品の多角化や地方展開により売上拡大を行ったらどうか、という議論を行った記憶があります。

 

2年生になり、4学期人気授業の一つ「スペイン中小企業の経営(英語:MASME、スペイン語:PYME)」において再びラ・ファジェーダ社を扱ったのですが、実際にはラ・ファジェーダ社は広告を一切打たず、宣伝はクリストバル・コロンの社会的活動に関するメディア取材対応のみ、そして就労を通じて障害者に生きがいを提供することが会社の目的であるため、従業員のストレスの原因となる事業の拡大は望んでいない、という事を学びました。筆者はその企業理念に感動し、ますますラ・ファジェーダのファンになりました。

 

また、授業で扱うだけではなく、IESEの教授はマーケティングを始めとしてラ・ファジェーダ社に対し経営コンサルティングを行なっています。 

 

企業訪問

ラ・ファジェーダ社訪問はIESE Consumer & Marketing ClubResponsible Business Clubの合同企画で主催されました。幸いにも晴天に恵まれた土曜日の早朝、IESEキャンパスへ集合しバスで出発。初秋で色づき始めた木々が美しい田舎道を抜けて2時間弱でラファジェーダ社に到着しました。創設者クリストバルがいるかどうかは定かではなかったのですが、現地に到着すると彼の姿が。講演活動で忙しい中、我々のために時間を作ってくれたようです。

工場ツアーはまずラ・ファジェーダ社の歴史や理念についての説明から始まり、牛舎、ヨーグルトの製造ラインを見学させて頂きました。乳牛は100%牧草で肥育されており、乳の出が良くなるようクラシック音楽を聞かせたりマッサージ機が設置されていたり、と牛がリラックスできる環境作りに取り組んでいるようでした。驚いたのは、何処もとても綺麗に清掃されていたこと。牛舎もほとんど匂いがしませんでした。工場見学の後は試食タイム。テーブルの上には、筆者がラ・ファジェーダのヨーグルトで一番好きなギリシャヨーグルト(プレーン)、ジャム、飲むヨーグルト、さらにフローズンヨーグルト、と至れり尽くせりです。

 

試食のお部屋では創設者クリストバル・コロンが我々を待っていてくれており、一つ一つ丁寧に質問に答えてくれました。

(左がクリストバル・コロン、右はIESEの人気教授イニゴ・ガジョ)

 

 

下記、特に印象に残ったクリストバルの言葉です。

 

・(「社会起業家にどんなアドバイスをしますか?」という質問に対して)アドバイスは出来ないが、どうしてそれをやりたいのかを聞くよ。それが分かればやり方も見えてくるだろう。ソクラテスの言葉を借りると「I cannot teach anything to anyone. I can only make them think.」だな。

 

・仕事には3つの大切な側面がある。1つ目は「世の中の役に立てると感じさせてくれること」、2つ目は「能力を伸ばしてくれること」、3つ目は「他の人と関わりを通して利己心を捨てる機会を与えてくれること」

 

・これ以上組織を大きくするつもりはないよ。会社は大きくなり過ぎてしまうと健全性を保つことが出来なくなるからね。社長が従業員の9割くらいの名前と顔が分かるくらいのサイズが最適だと思う。

 

・昔この村にはバカと頭がいかれた奴しかいなかった。今じゃそこにはカタルーニャ地方で一番有名な会社があって、あのダノンと競っているよ。

 

  

「社会貢献」が大好きなIESE生。世の中に貢献できることがあれば何でもするIESE生らしく、みんなラ・ファジェーダが大好きです。ラ・ファジェーダ製品はバルセロナの全スーパーで扱われているわけではないため、バルセロナにお越しの際スーパーで見つけたらぜひ購入してその品質を確かめて見てください。また、IESEの学食でもヨーグルトやプリンが売られていますのでキャンパス訪問の際にもぜひお試しください。

(一番左が筆者)

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TOYONAGA KATSUYUKI